片想いの回顧録

過去とこれから

①戦友期ー2

1年の冬季休暇が明け、私と相手はそれぞれ学級役員のHR長と副HR長の役職に就きました。そして偶然か、はたまた視力などの問題によるものだったか、学級内の席では2人とも同じグループに配置されました。

学習内容が大幅に増え、授業時間に余裕が無くなる高校とは異なり、中学ではグループディスカッションやペアワークなど、周囲の生徒と交流を取りながら学習を進めていく授業が多かった様に思います。

これが、楽しいこと楽しいこと。

相手は頭の切れる人でしたので、会話がとても面白いのです。それこそ、与えられた課題に関する真面目な議論から、巫山戯た内容で互いに比喩をふんだんに散りばめてコンボを楽しむ雑談、協力型頭脳ゲームでの連携プレイまで。全てが私にとっては新鮮で、貴重なものでした。

私は自分の学習能力だけを武器に自尊心を保ってきた(それでもその中学でなんとかトップを狙うことができる、というレベルでしたが)と自負する人間でしたので、音楽、アニメ、漫画、スポーツ、その他数あるエンタメに関する会話のコンテンツが非常に少なかったのです。そんな私にとって、自分が持つコンテンツで流れる様に会話を構築できるという経験は、この上無く幸せなものでした。

教室内でも、教室外の役員活動でも一緒に行動して、ゆったりとした学級の雰囲気の中でキャッキャキャッキャと戯れていたあの頃が、私にとって1番純粋に幸せだったのでしょう。

やはり単純接触効果で、長く一緒にいる人間に対しては好意を抱き易いですよね。加えて互いに協力して課題なり仕事なりを解決していくという経験は、私達の内に「無意識の連帯感」を生み出していたのでは無いかと考えています。少なくとも私は、それを強く感じていました。

 

明確に覚えていませんが、この頃既に相手に対する「好き」という感情は芽生えていたと思います。話していて、一緒にいて、楽しいから好き。友情の延長線上にある様な、そんなささやかな恋心でした。